「重度訪問介護って、実際どれくらいきついんだろう」——そう思って検索したあなたへ。
こんにちは、Totchiです。私は介護の現場に12年いて、最初の8年は通所介護(半日型デイサービス)、いまは重度訪問介護(重訪)を約4年やっています。元気な高齢者の自立を支える仕事から、重い障害を持つ方と1対1で向き合う仕事へ。正直に言うと、移ったばかりの頃は「これはきつい」と、何度も思いました。
でも4年続けたいま、ひとつだけはっきり言えることがあります。重訪は確かにきつい。けれど、そのきつさはデイのきつさとは”種類”がまるで違う、ということです。
結論:重訪は「きつい」。でも、きつさの“種類”が違う
重度訪問介護のきつさと、施設・デイのきつさは、「どちらが上か」ではなく「種類がまったく違う」もの。だから、デイの働き方が合わなかった人が重訪で生き返ることもあれば、その逆もあります。
大事なのは「きつさの量」を比べることではなく、自分がどの種類のきつさなら耐えられて、どんなやりがいが欲しいかで選ぶこと。両方を長くやってきたからこそ、これははっきり言えます。
そもそも「きつい」って何だろう?2つに分けて考える
「介護はきつい」とよく言われますが、ひと口に“きつい”と言っても、中身はぜんぜん違います。私は、介護のきつさは大きく2種類あると考えています。
- ① 数と時間をさばくきつさ……決まった時間に大勢を回す、効率を求められる、経営や集客に追われる
- ② 重さと責任のきつさ……一人と深く・長く向き合う、身体介助の負担、命に近い責任、逃げ場のなさ
そして、デイと重訪ではこの①と②の配分がほぼ真逆なんです。ここを分けて見ると、「重訪はきついのか?」という問いの答えが、ぐっとクリアになります。
通所介護(デイ)8年で感じた「きつさ」
私が8年いた半日型デイサービスは、要支援〜要介護2くらいの、わりと元気な高齢者の方が通う場所でした。やることは主に軽い負荷でのトレーニング。使われずに衰えた筋肉を動かし、運動能力を保って、普段の生活に困らないようにする——いわゆる自立支援です。
最初の3年はトレーナーとして、声かけをしながら前に出て一緒に体操や徒手トレーニングをしていました。その後の約5年は施設長として、利用者さんの獲得や契約、ケアマネージャーさんへの近況報告や書類のやり取りを担っていました。
デイのきつさは「時間」と「経営」だった
デイは午前・午後の2枠制。時間内に回しきるためのペース調整がいつも頭にありました。利用者さんが多い枠はバタバタ、逆に少ない枠は時間が余らないように、飽きさせない工夫をしてしっかり運動してもらう。どちらにしても“枠と時間”との戦いです。
施設長になってからのきつさは、もっと現実的でした。半日デイは単価が安いぶん、契約数を取らないと売上が立ちません。利用者獲得のプレッシャーは常にありました。とくにコロナ禍は大打撃で、利用を控える方が増え、新規契約も取れなくなり……あの時期の重さは今も忘れられません。
つまりデイのきつさは、身体介助や“命の重さ”ではなく、数と時間をさばくきつさ/人を動かし経営を回すきつさでした。
重度訪問介護4年で感じた「きつさ」と落差
いま私が関わっているのは、頚椎損傷・ALS・筋ジストロフィーなど、重い障害を持つ方がほとんどです。デイ時代は元気な高齢者が中心で、介助といっても歩く様子を見守る程度でした。だからこそ、重訪に移った最初の落差は、想像以上でした。
- コミュニケーションが難しかった。意思のくみ取り方が、デイとはまるで違う。
- 慣れない身体介助。おむつ交換、食事介助、車椅子への移乗、ベッド上での体位変換……最初は下手すぎて、怒られたこともありました。
- 医療的ケア。気管切開部の吸引は、最初のうちは不安と怖さで、正直「怖いな」と感じていました。
- 初めての夜勤。私はもともと早寝早起き型。夜に働くこと自体に慣れていなくて、しばらくは眠すぎてフラフラでした。
夜勤の睡魔は、数ヶ月続けるうちに体が慣れました。介助も、怒られながら一つずつ覚えていきました。でも、この時期に痛感したのが落差の正体です。デイは“流れ作業的に数をさばく”仕事。重訪は“一人と深く・長く・逃げ場なく向き合う”仕事。身体的にも、精神的にも、時間的にも、背負うものが一気に重くなったんです。
【比較表】通所介護 vs 重度訪問介護
8年と4年、両方を経験した立場から、違いを一枚にまとめました。
| 観点 | 通所介護(デイ) | 重度訪問介護 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 要支援〜要介護2の、比較的元気な高齢者 | 頚椎損傷・ALS・筋ジスなど、重い障害のある方 |
| 主な仕事 | 軽負荷トレーニングによる自立支援 | 食事・排泄・移乗などの身体介助+見守り+医療的ケア |
| 関わり方 | 1対多(午前・午後の枠を回す) | 1対1で、じっくり長時間 |
| 勤務時間・夜勤 | 日中・短時間/夜勤なし | 長時間・泊まり込みあり/夜勤あり |
| きつさの“種類” | 数と時間をさばく・集客や経営の重圧 | 身体・精神・責任の重さ、逃げ場のなさ |
| 身につく力 | 集団を動かす力・運営の視点 | 1対1の信頼構築・コミュ力・医療的ケア |
| 向いている人 | テキパキ数をこなすのが得意な人 | 一人と深く向き合いたい人 |
「重訪はやめとけ」への、私の本音の答え
「重度訪問介護はやめとけ」と言われることがあります。理由はだいたい想像がつきます。そして、正直に言えば——その指摘の一部は、当たっています。
- 勤務時間が長く、プライベートの時間が取りにくい。長時間その場にいる仕事なので、ここは事実です。
- 利用者さんの命を支えている責任の重さ。何かあったときに背負うものは、軽くありません。
それでも、私は4年続けています。理由は、きつさと同じだけ——いや、それ以上に得られるものがあるからです。
- 支援時間には見守りという支援を続けながら過ごす待機の時間があり、私はその間を勉強や調べ物にあてています。気づけば“成長の時間”になっていました。
- 利用者さんやご家族と近い距離で関わるので、腹を割って話せる。信頼関係を築きやすく、自然とコミュニケーション力も磨かれました。
- そして何より、利用者さんの感謝や笑顔、ご家族の介護疲れが軽くなったと実感できた瞬間。これが、私にとって一番のやりがいです。
待遇面も、長い拘束の対価としてデイ時代より上がりました。ただ、それはあくまで“時間を差し出した結果”。だから私は、お金だけを理由に重訪をすすめることはしません。
こんな人に、重度訪問介護は向いている
両方やってきた私の正直な感覚で言うと、向き不向きはこう分かれます。
- 向いている人:施設やデイの“流れ作業・数さばき”に疲れた人/一人とじっくり向き合いたい人/待機の時間を自分の成長に変えられる人
- 慎重に考えたい人:プライベートの時間を何より優先したい人/体質的に夜勤がどうしても合わない人
どちらが偉いという話ではありません。あなたが耐えられる“きつさの種類”と、欲しい“やりがい”がどこにあるか。それだけの話です。
まとめ:きつさは「量」ではなく「種類」で選ぶ
重訪は、きつい。でもデイには、デイのきつさがある。違うのは“きつさの種類”です。数と時間に追われるきつさが嫌なのか、重さと責任のきつさが無理なのか——自分の答えがわかれば、職場選びの後悔はぐっと減ります。
もし今の働き方が「種類」として自分に合っていないと感じるなら、重度訪問介護も含めて、選択肢を一度広げてみるのもいいと思います。いきなり辞める必要はありません。まずは情報を集めて、介護に強い転職サービスなどで“他のきつさの種類”を知るところから。それだけでも、見える景色は変わります。
書いた人:Totchi/介護の現場に12年(通所介護8年→重度訪問介護 約4年)。介護福祉士・重度訪問介護支援員。元気な高齢者の自立支援から、重い障害のある方との1対1の支援まで、両極を経験。きれいごとではない“現場のリアル”を書いています。

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